極東最前線

Wednesday, March 22, 2006

進化の代償

洗濯機、炊飯器、DVDプレーヤー、MP3プレーヤー、
食器洗浄機、マッサージチェアー、
火薬、羅針盤、印刷機、
パーソナルコンピューター、携帯電話、
TrueFlow、CTP、DDCP、
PDF/X-1a、JDF、
原油、石炭、プルトニウム等々…。

人類の目覚ましい進化に伴い、生活にとって様々便利商品(若しくは技術)と云うものが溢れてきている昨今。
我々の生活スタイルを変えてしまう程のアイテムというのが売り出されていますよね。
昔と今とでは変わっていくものなのだなぁ…なんて。
前はあんなにも苦労して成し遂げた行動がこんなにも容易に出来てしまうものか…と、
便利さ自体は嬉しい事なのですが、其れと共に情緒が薄れた現代に
少々寂しさすらも覚えます。

しかしながら、便利な商品と云うものは、果たして本当に自分たちにとって、
必要としているものかどうか、と言った疑問も少なからず感じる訳なのです。
『便利』と『必要』というのは違うような気がしているのです。
しかしながら、産業革命以降、我々の生活に介入してきた製品達というのは、
私にとってはなくても生きていける商品であることの方が多いように思えるのです。

「事が容易になる」と言うことを提示されてしまうと、楽な方へと流れてしまうと言うのは、
人間の感情として、少なからず誰にでも在ることなのですが、
その事象を初めから「難しいこと」「手間な事」と認識しているかというと、
そうではないように思えるのです。

初めは、「其れが普通なのだ」という認識(考えもしないくらいに無意識)があるので、
嫌とも思わず、こういうもんなんだ、と作業を進めていたことでしょう。

例えば携帯電話。
携帯電話というのは、近年目覚ましい活躍を遂げているツールの一つなのですが、
実際、電話としての機能よりも、メールやWeb機能、ゲームやお財布と言ったような、
付加価値の躍進の方が目につくように思います。
携帯電話の出だしの頃は「通話が出来る」と言うだけの特性しか持たず、
ちょっとしたビジネスマンが其れ(肩掛け式の移動電話)を持つに過ぎなかったのですが、
それは一向に普及せず、勿論高校生が其れを持つなんて考えもしなかったことでしょう。
通話が出来るというのは現代では当たり前であって、最早携帯電話は携帯電話の枠を超えつつあるのです。
様々な便利な機能に、通話機能がくっついているというような、当初の本質の目的とは変わってきているようです。
競争社会の生んだ盲目的な産業の躍進が、本質と付加を逆転させたのです。
「今に携帯電話がフェ○チオしてくれるぜ」と云うようなアメリカンジョークも、
現実味を帯びてきたように思います。

しかしながら、そういった追加機能を充実させることにより、
其れに依存してしまう人間と言うのも発生してくる訳なのです。
最近の巷では、食事中も入浴中も携帯電話を欠かせない人間というのが増えてきていると聞きます。
其れを身につけていないと不安で不安でしょうがない。

携帯電話を無くしただけでパニックに陥り、周囲へ焦りと怒りを放出し、
もう人生終わりだ、最後に両親に親孝行できなかったことだけが後悔として残り、
廃人同然の気の抜けた、乾いた表情で雑踏を彷徨い、
道行く人に肩をぶつけては、
「おい、おっさん。フラフラあるいてんじゃねぇよ。鮪漁船乗せるぞ。」と罵倒され、
それでも携帯電話を無くした悲しみ、絶望からは解放されることもなく、
早いとこ東尋坊から飛び降りて楽になりたいとの思いから、
グランドキャニオンに向かい、飛び降りかけたところでグランドキャニオンの広さに圧巻し、
自分のケツの穴のリトルさ、視野の狭さ、傲慢さに気づき、
「はは、俺ってゴミじゃないか。はは、もうどうでもいいや。」と完全に頭のネジというネジが外れ、
ホワイトハウスに帰り、核のスイッチを押す。
そして世界はハルマゲドンへと突入するのです。

『もしもジョージ・ブッシュが携帯電話をなくしたら』
と言うお話でした。

そこで、私は便利さの観点から携帯電話を保持している訳なのですが、
上記のブッシュ大統領のように、『必要としている』と為らないように気を付けているわけです。
携帯電話はあくまで便利なツールの一つに過ぎない、と考えているわけです。
通話が出来て、暇つぶしが出来る、それくらいです。私にとっては。

敢えて、そういった便利グッズを使用せずに生活をしてみたいな〜なんて最近考えるのです。
自炊するにも一苦労、洗濯も一苦労、煙草に火をつけるのにも多大な苦労があることでしょう。
いつかある危機に備えて、己のサバイバル能力を鍛える為に、そういった事をやってみるのも
今後必要となってくることなのではないでしょうか?

石油がなくなったことを考えてみてください。
自動車は勿論、プラスチックやゴム製品、金属製品、化学繊維も生産できなくなるのです。
我々を今現在支えている家電製品の多くが『過去の産物』となるのです。
その時我々は如何にして代用品を生産するかを考えていくでしょう。
一度楽を覚えてしまった人類が、又何も無いスタート地点に立たされたときに、
果たして今までと同じように生きていけるのでしょうか?
私は「不可能である」と公然と判断いたします。
私も含め、皆も又石油無しの生活など考えられないほどに、石油ありきの生活を常識化してしまっているのです。
石油は今の私達には「便利」ではなく「必要」なアイテムになってしまったのです。
しかしながら、世界の原油は残り40年〜50年で底をつきます(様々な説はありますが)。
そのときの世界の資源の略奪に伴う戦争行為を想像すると、
それだけで身の毛も弥立つほどの恐怖を感じます。
その時に人類は人類に恐怖、顫動し、危機に立たされた人間の強欲さ、傍若無人さに
人類の終末を予感し絶望することでしょう。
又、資源の過剰使用を一人一人が後悔することとなるでしょう。
しかしながら、時既に遅し。
原油は無くなります。確実に。

其れに伴って開発が進められているのが「新しい資源」な訳ですが、
私、「新しい資源」や「エネルギー開発」には物凄く期待しております。
他力本願であることは重々承知の上、そういった技術の開発をしている方々に
私や、私の次の世代、そのまた次の世代に資源争奪戦争を起こさせないための技術開発を委ねているのです。
そういった開発が、人類の平和に貢献することであるような気がしているのです。
人間というのは儚きもので、いざ(石油の枯渇など)となったら何でもやらかしてしまうのです。
しかし、与え続ければ少しでも落ち着かせることが出来るわけです。
存在していたものを奪う、存在していたものが無くなると、人類は危険な状態となってしまうのですね。
悲しい話ですが…。

『開発する努力』と言うのも素晴らしく大事なところであるとは思うのですが、
其れと共に『使用しない努力』も勿論大事になってくるのです。
我々消費者は、むやみやたらに提示されたものを消費するのではなく、
其の提示された製品や技術の本質を見極めることが大事になってくるのです。
「便利だから使う」では、将来子供達は必ず戦争や略奪行為を引き起こします。
「必要だから使う」に焦点を絞ると、今使用している製品や技術がどれだけ贅沢な産物であるかが見えてくることでしょう。

『石油は必要ではない。只の便利な産物に過ぎない。』 By Katoh The Sentimental(2006)

何も使うなとは言いません。
しかし、見極めようよ。という事なのです。

『チーム・マイナス6%』と提示されたら、
「ど阿呆!足りんわ!俺は単独チーム・マイナス100%じゃい!」と自害をし、資源の無駄遣いストップに貢献。
『ハイブリッド・シナジー・ドライブ』を提示されたら、
「結局自動車だろが!俺は籠屋を開業するぞ!」と言い、すぐに破産し自害。
『スーパーのレジ袋を使わず、マイバッグを持ちましょう』と提示されたら、
「あー!せっかくスーパー来たのにバッグ忘れちまった!すまぬ!」とその場で割腹し自害する。
と言ったようなことが必要になってくるのです。
そうしろって事ではありませんよ。
そのくらいの意気込みが必要だってことです。
しかしながら、上で挙げたようなことはエコロジーに関することです。
資源開発とは、またちょっと違いますが、全く違うわけではありませんよね。

今後の我々の命題としては、
『省エネは非戦に繋がる』と信じ、生活を改めて見直すことであると思います。
省エネは皆さんから安定した生活を奪うものでは決してありません。
寧ろ其れをやらないことが、今後の私達の生活を脅かすこととなり、
「戦争」というおぞましい破壊の産物を生み出すこととなるのです。

生産で進化する産業は終わったのです。
私は退化するための技術の進化、即ち「逆産業革命」を提案します。



「パーソナルコンピューター」これは便利。
「炊飯器や洗濯機」これも勿論便利。
「iPod等のポータブル音楽プレーヤー」これも便利かな。
「世界の時間が分かる時計」まぁこれも便利っちゃあ便利。
「コタツの上もスッキリ。リモコンを片づけるための入れもん」…便利としておこう。
「高いところも安心。高枝切りばさみ」便利な人には便利。
「驚異の吸引力!ポータブル・ハンディクリーナー」うおー!すげぇ便利!
「炊飯器で肉じゃががつくれるビニールバッグ」いや、便利やけどさぁ…。
「レンジでスパゲッティが作れる」これは便利やね。
「耳かきにライト付いたやつ」これはいらん。
「愛」必要です。

さて夜も更けてまいりました。
携帯電話でも破壊して眠ることとします。


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