極東最前線

Saturday, June 03, 2006

淘汰されるナショナリズム

ドイツ・ワールドカップ。通称、独世界杯。
もうじき開催のようですね。

いきなりこんな話を文頭にもってくると、皆さんは私のことを、
「サッカー狂いの、否、寧ろ一時の盛り上がりに便乗するだけの下賤な獣」
と思うことでしょうけれども、如何せん私、サッカーにまるで興味がございません。
興味がないと一口に言い切ってしまうと語弊があるかもしれませんので、
少々言葉を付け加えさせて頂きますと、
「サッカーに興味はない。だってあんまし見たことないもん。」
と言ったところでしょうか。

大黒と言えば、大黒摩季で、
中田と言えば、中田カウス・ボタンしか思い浮かばないですって。

しかしながら巷ではかなり盛り上がっているようでして、
世界杯の話を耳にしない日なんて、殆ど無いくらいですよね。
私、テレヴィジョンというものをあまり見ない方でありまして、
まともに見る番組なんて「めざましテレビ」と「とくダネ」くらいなのですが、
その唯一見る番組で、最近になってむやみやたらにこの世界杯の特集を組むので、
正直ウンザリしている次第であります。

と言うような感想を私が示すので、勘のいい皆さんならばもうお気づきでしょうが、
私、世界杯に興味がございません。
夜な夜なテレビに釘付けになる気も、更々ございません。

2002年にも同じような大会が日本で行われていたようなのですが、
ハッキリ言わせて頂くと悪い思い出しかございません。

その時期、友人の家のケーブルテレビでマイク・タイソンの復帰戦を観戦しようと、
麦酒を1ケース購入して意気揚々と友人宅へ向かうも、
「サッカー観なあかんねん」と言う友人の発言に絶望したのを今でも憶えております。
そして私はルールもよく解っていないままサッカーを友人と共に観戦し、タイソン戦を見逃し、
「嗚呼、憎き世界杯」と呟きながら、道頓堀の周辺で青いアディダス製のユニフォームを身に纏った群衆を掻き分け、トボトボと頭を垂れ、悲壮に満ちた表情で帰路についたのでした。
道には号外と思しき新聞紙が散乱し、警官や機動隊が治安維持のため大量に街へ繰り出し、
青いユニフォームで埋め尽くされた群衆の中に、近鉄バッファローズのユニフォームを身に纏い、
「バッファローズ9連勝や〜」と全く場の雰囲気とマッチしない喜びを放出している青年が紛れていることに、
ちょっとした癒しを感じたりしていたのを、最近になってやたら思い出します。
空気の読めない人間が可愛らしく思える一瞬でしたね。

しかしながら、その世界杯というもの、
サッカーにまるで興味がない私にも興味をそそる部分がございます。

世界的規模で開催される催し物と言うものには、必ず世界情勢が付きまとってくるのです。
国対国の対決。
そう、まるで戦争が開戦されたかのような殺伐とした雰囲気も兼ね備えているのです。
プライドや愛国心として、自国が他国に敗北することが許せなかったり、
過去の他国との間の歴史や因縁をここぞとばかりに棚に上げて、
テロル等の破壊活動に専念する輩が増えてきてしまうのも現実です。
今回もこれまでの世界杯同様、厳重な警戒が必要ですね。
観戦旅行等でドイツへ行かれる皆さんも、十分にお気をつけ下さい。
ポイントとしては、大きい声でアメリカの話などをしない、と言うところです。

そして今回の独世界杯で最も警戒しなくてはならないこととしては、
『ネオナチの暴動』
なのではないでしょうか。

ネオナチとはネオナチス、つまりはアドルフ・ヒトラーを指導者としたナチスの思想を受け継ぐ者として活動する団体や政治勢力を指して使用される総称です。
彼等は自国の労働者の雇用拡大を掲げて外国人労働者の排斥を訴えるなど、
就職問題に絡んだ活動で参画者を募い、表向きは社会的な思想を持って活動しているように思えますが、
実のところは「ネオナチはかっこいい」というようなファッション的な思想を持ち、
具体的に政治的な思想の話を問いかけると「殺すぞ」とか「うるせぇ」と直面した問題から逃避する人間が殆どであると言われています。

過去のネオナチはナチスの元関係者などが活動の中心であり、頑なな政治的思想を掲げ、
歴とした極右勢力の一派だったのですが、ドイツでは現在ナチズムを非合法化しており、
そのようなナチズムを前面に押し出して称賛するような集団の結社は全面的に禁止されているのです。
そんな中で近年では若者達がネオナチの名を騙り、移民や外国人労働者の排斥を訴え、暴行・略奪などの犯罪行為を行うケースが増加していると言われています。
ヤンキー集団と化してしまっているのです。
ナチズムを正しく理解せず、只単に暴力に訴えることだと勘違いしている者が多いのです。

ネオナチの多くは東ドイツ出身者と言われています。
そこにもネオナチが未だに増え続けている理由があるように思います。
東と西との歴然とした経済格差があった頃、共産主義国家として自主性を奪われていた東側出身の人間達の間には、弱肉強食の資本主義に未だに馴染めず、燻り続けて生活している人間も多いのです。
共産主義時代には年金だって何もしなくても国家が保証してくれていたのに、
統一後、突然「積み立ててないと年金あげないよ」という制度に変わってしまい、払わない人間が大勢いると聞きます。
人間ですから、考え方を突然180度変えると言うのは難しいものです。
そんな東西の関係の中で、ヒトラーの右翼的国粋主義が東側のナショナリズムの根底にあるからこそ
ネオナチという集団は今尚増加の一途を辿っているのではないかと思うのです。
敗戦国として外国人移民の受け入れを拒否してはいけないと決定され、貧しい外国人が職を求めてドイツを目指すのですが、こうして職を奪われたドイツ国民は外国人に敵意を燃やし、国粋主義とユダヤ人排斥を提唱したヒトラーとナチスに共鳴する若者が増えているのです。

戦後のドイツは、その「ドイツらしさ」のあるものは全て取り締まってきました。
自国が左翼的観点からナショナリズムを否定しているのです。
ネオナチがいいとは思いません。
只、そういった暴力的思想はよくないにしても、自分らしさ、自国らしさを模索しながら、
それを形や思想で表現することは決して悪いことではありません。
ドイツらしさの象徴として「家族・労働・勤勉」という素晴らしい要素を持っているのですから、
それをネオナチという卑屈な集団に加わって暴力で表現するよりも、
もっと他のやりかたで探求するのも必要な事のように思えます。
それは容易なことではないかもしれません。
只、難解な出来事を打破する『勤勉』こそドイツ国家の自尊心の表れであるのです。
私も共に悩み苦しみましょう。
さぁ手を取り合いましょう。


取り敢えずドイツ国内でスキンヘッドで黒いブーツに白い紐を通している若者を見かけたら、
悪いことは言いません。目を合わせないことです。
しかしネオナチには親日家が多いらしいですよ。
日本は過去の同盟国。
「イタリアは2度も裏切ったが、日本は最後まで裏切らなかった。」
と言うのが彼等の見解らしいですよ。
日本だけじゃなく、世界を家族だと思いましょうよ。
その為に世界杯という大会は存在しているのだと思います。
やめてね。痛いことは。

ということで、ドイツが優勝するように応援しようかな。
ワールド・カップが終わったら、どこが優勝したか、誰か教えて下さいね。

そういえばこの前、2002年の世界杯のTシャツ貰った。
今着ても恥ずかしくないだろうか。


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